転生したら周りがスライムだった件 Season1 3話『Fラン変格活用』
入学式から早2ヶ月、ぼっち飯が板についてきたADM内野手。
「な、なんだコイツ、1人で昼ご飯を食べているのか」
「それだけじゃないぞ……! スマホ片手にアニメを見ながら食べている!」
「本当ね、余裕があって何だかかっこいいわ。こんな方法を思い付くなんて、凄い発想力だわ!」 *1 大学1年編③
(1)Fラン大学の優等生
前期授業も折り返しを迎え、キャンパス内を涼しげな格好で歩く陽キャが増える中、変わらぬマッマセレクションの洋服を装備する陰キャADM内野手は、ある疑惑を確信へと変えていた。
ぼく「ひょっとして、ここでは成績上位なのでは……?」
という倨傲極まりないものである*2。本項では、自分が""劣等生""ではない事に気づき始めた頃のエピソードを紹介しよう。
――ぼく「誤魔化すなんてとんでもない。自分はただの――Fラン生です。」*3
(2)うわっ…、周りの英語力、低すぎ…?
周囲の英語力があまりにも低かった。*4因みに当時の僕の英語力に関しては本ブログ第2話を参照して頂きたい。
事例① 区切り方、イントネーション、発音などがおかしい
Most Americans feel that crime is a serious social problem, and think that violent crime is on the rise.
この例文を軽く眺めた後に一読してほしい。(この記事の読者の多くが、僕と同じ母校だと思うので)初見でも、大きく詰まることなく読む事ができるのではないか。その上で冠詞は弱く読む、節の切れ目で一呼吸置く……という癖がついているだろう。
が、Fランはレベルが違う。彼らの読む文を聞くと、以下のような事態に陥る。
1.文の切れ目が何処かわからない
平気で"social"と"problem"の間のような場所で一呼吸入る。
2.何故か文中に「?」が頻繁に挟まる
急に単語の語尾が上がるのだ。日本語=高低アクセント、英語=強弱アクセントが混同していたりするのだろうか?真偽は不明である。
まあ要するに、Fランとは著しく英語が出来ない奴の集まりな訳だが、このような事例と毎週遭遇し、徐々に原因が掴めるようになった。彼らが授業で用いられる英単語の多くを把握していない事に。
例えば、彼らの"rise"の発音は"rice"(=米)と等しかった。要するに彼らにとって”rise”という言葉は未知の単語なのである。
その他にも
・"Whether"から始まる文を「今日の天気は……」と和訳する奴がいた。
・"expect"を"expert"と読む奴がいた。
・"particular"を"practice"と読む奴がいた。
なんて事を記憶している。
一番傑作だったのは
・"though"と"through"と"tough"が、全て"those"と発音されていた
ことだ。「gh」は「z」の発音に置換されるらしい。これは40人クラス中4名の間で共通する事象だった。恐らく"thought"も"thorough"も"those"になるのだろう。
1か月かけてこの法則に気づいた時の僕の快哉を想像してほしい。STAP細胞を発見した時の小〇方教授の心境がよく分かった。
事例② Fラン変格活用
その授業では、冒頭にで事前に作成したテキストの要約文をスピーチとして発表する、という課題が出されていた。(今振り返ると比較的質の高い授業だった)
運よく(?)初回組のトップバッターが僕であった。
ぼく「スピーチだから冒頭に何か言うべきだな……自己紹介の他には……(Google検索ポチー」
Google「We're going to give a summary」
ぼく「これや!」
当日使ったら褒められて他の人もマネするように教授が指示。Fラン、ちょろい。
しかしその翌週
B君「We're going to a summary」
ぼく「(giveどこ行った……?)」
しかし教授が華麗にスルーした為、この時は僕の耳が悪かったと思った。この時までは。
更にその翌週
Cさん「We're summary」(私達は要約です)
ぼく「???????」
~Fラン変格活用~
「We're going to give a summary」(第一形態)
↓
「We're going to a summary」(第二形態)
↓
「We're summary」(第三形態)
数週間が経った頃には"自己紹介文"が完成していた。"My name is ○○"と言った直後に"We're summary."が入るの所が更に面白い。お前はいったい誰なんだ。
その後は決まって宇宙人と交信している気分にさせるスピーチが披露される。幾度となく教室から逃亡したくなったのは当然のことだろう。
事例③ 授業中発言する奴が僕しかいない
「発言点を稼いで教授の心象UP!!」と初回授業から息巻いて、出来る限り質問に手を挙げて答え続けた結果、授業を折り返す頃には、ほぼ自分しか喋ってなかった。たまに質問を聞き逃し、手を挙げなかったら、心配そうな顔をされた。幼稚園に戻った気分だった。
事例④ 小テストの点数がダントツ1位だった
ぼく:52/60点 平均点:28/60点だった。
小学校卒業以来7年ぶりの1位だった。高3では英語2科目共に赤点で卒業した僕は、英語の成績に苦しむ必要のない世界に転生していたのだった。
(3)分からない事がない
学問を学ぶ上で不遜極まりない態度ではあるが、少なくとも授業の範囲内において、入学してから数か月間で分からない場面が殆ど無かったのだ。要するに授業で教授が話す説明は、一度聞けば大体理解できる程度の事しか存在しなかった。
ジャンルは違えど、例えば数Ⅱの数列を履修した場合、等差・等比数列は一発で落とし込めたとしても、階差数列・群数列・漸化式……と難易度が上がるにつれて、一度では理解できない事が増え、復習の必要性が増すだろう。
当然大学の授業でも、同様の流れを想定していたが、上記の通りである。苦労しないのである。
「いや、教科書も試験範囲に違いない!!」という暢気な勘違い(多くの科目で指定教科書は、テストはおろか授業ですら使うことがなかった)をして、度々教授の下へ足を運ぶも、周りでそんな怪奇な事をしている奴は皆無だった為、薄々変だとは気づいていたが、前期の間はずっとこの行動をとり続けていた。
多くの大学の経済学部でテキストとして使われているマンキュー入門経済学を、弊学でも1年生全員に買わせていた為、暇な時間はずっとこれを読んでいた記憶がある。導入向けの書籍としては、分厚いものの非常に読み易く書かれていたのが幸いだった。
(4)次回予告
試験へのカウントダウンが始まり、周りは喧騒とし、自然と情報交換を始める。しかし友達が居ない為、独り黙々と勉強に取り組むしかないADM内野手。彼の向かう先は孤独か?それとも孤高か?
―――次回 定期試験編 開幕
ステータス
名前:ADM内野手
種族:オタク
称号:陰キャ・ぼっち・童貞
バイト戦士
Fラン大学の優等生←NEW!!
魔法:なし
技能:ユニークスキル『塾講師』
ユニークスキル『社畜』
続く