転生したら周りがスライムだった件 Season1 5話『休めない夏休み』
ぼく「南半球では季節は逆になる……という事は知っていますか」
生徒「南半球では季節は逆になる?何を言っている?」
ふむ、やはり知らんか。もっともそれは仕方のない話なのかもしれない。
この事実は私が前の世界に居たときから抱いていた新しい事実だ。知らぬのも当然だろう。
ぼく「簡単に言いますと北半球では今が夏です。ですが南半球では今が冬です。こうやって北と南で季節が逆になるのです」 *1
大学1年編⑤
(1)みんなとすごす夏休み*2
――時は少し遡り、試験が間近に迫る7月中旬のバイト先にて。
オーナー「ADM君さぁー、数ⅡBってどのくらい解けた?」
ぼく「センターは8割ちょいですかねー。」
オーナー「じゃあさぁー、ちょっとお願いがあるんだけど、この辺で数ⅡB何コマかやって貰っていい?」
ぼく「」
バイト戦士に拒否権は無い。
弊塾はシフトに融通が効くのか、テスト前に一斉に数週間休みに入ることができる(Fラン私文には許されていないようだが)。
理系の試験は大変なようで、出勤できる講師が半分に減り、一斉に理数系のコマが降り注いできてしまった。要するに、付け焼刃で授業をやれと、これはそういう話だ。
バイト講師オンリーの地元の塾だと、上記のような事態が平気で発生する。自分は受験期に理数系の分野に触れ続けていたから、恐らく授業の質が担保できていた方で、中には頓珍漢な解説を行う私文の同僚も存在した。
結婚&子育てをする気のある同期各位は、子供が生まれたら、大手集合塾に通わせるか、値段は高くともプロオンリーの個別or家庭教師を雇うべきです(遺言)。
そんな訳で大学の試験1週間前、半年ぶりにハイスコープを開いて数列とベクトルの復習を始めた。 特に苦手のベクトルは、センター試験で確率と統計的分布に逃げていた人間にとっては、かなり苦痛の作業か……
と思いきや、始めると意外と楽しい。受験に縛られずに解く作業は快適にすら思えた(大学の試験からの逃避という面は強いが)。
大学受験用の数学の教材と言えば、チャート式が鉄板だが、ハイスコープも中々良い。四工大(工学院・芝浦工大・都市大・電機大)クラスの問題であれば余裕で対応できる。1周するのに時間を要さない分、コスパが良いテキストである。
大学生活初の夏休みをADM内野手は、人手不足の教室で白井投手*3を彷彿とさせる、週6出勤とフル稼働で過ごす事になった。
まあ、動き続けないと窒息死するマグロのような性格をしているので本望ではあったのだが。休みとは何か(哲学)
(2)せめて、人間らしく*4
2話で紹介した通り、僕が勤める塾の生徒の殆どは公立中の生徒たちである。正直公立のレベルはヤバい。勿論優秀な生徒もいるので、個人差や地域差があるのだろうが、自分の過ごした中学と比較すると……本当にヤバい。
ということで、講師生活1年目の夏期講習で遭遇した幾つかのエピソードを紹介したい。
①北半球が夏なら、南半球も夏
夏期講習期間に入ると、社会や国語の授業をする機会が増える。当然自分も予習をする。選択科目の都合上、地理は中2以降一度も触れていない(今思うと歪なカリキュラムだな……)ので、机の下を漁ると、まだ真面目に授業を受けていた頃のノートを発見した。
陸半球の中心はフランスのナント、水半球の中心はニュージーランドのアンティポデス諸島……から始まり、そのうちケッペンの気候区分の範囲に突入する。僕は気候区分が苦手で日本史を選択した覚えがあるが、皆はどうだったのだろうか。
一通り復習を終え、いざ初回授業。結論。
なーーーーーーーんにも役に立たなかった。
気候区分とかそういうレベルの話ではないのである。
まず彼らには、"北半球と南半球で季節が逆転する"事実を教える必要がある。体感で半数弱の生徒は、この事実を説明すると「へぇ~」という反応を返してくる。まるで転生先の異世界でかけ算九九を教えるなろう主人公の気分だ。ちなみに季節が逆転する理屈は全く理解してくれない。これが公立中の教育の実態である。
②というか東西南北が分かっていない
普通に一定数居る。北&南はほぼ100%正答するが、東&西は2割の生徒が間違える。教えるのが4年目になると、恐ろしいことにこの光景にも慣れてしまうので、講習が始まったら真っ先に確認している。
③都道府県を半分も知らない
世界地理を乗り切ったら、次は日本地理がやってくる。まず最初の難関は"都道府県の場所と名前が一致する生徒が2割もいない"ことにある。県庁所在地も含めると多分1割いるか怪しい。
現在公立中で教員を務めている先輩に話によると、学年全体で都道府県テストをしたら全問正答した生徒数は1~2割程度だったらしい。要するに全国的な傾向なのだろう。
ぼく「広島県は中国山地と四国山地の間にあるでしょ。夏は南東から、冬は北西の季節風が……」
などと瀬戸内海式気候の説明しても、まず広島県の場所が分かっていないし、瀬戸内海が何処かも知らないので、会話が成立しないのである。
小学校の社会科の授業で彼等は何を習っていたのだろうか……。
④割り算が出来ない
流石にこのレベルだと珍しくなるが、存在はする。
小学校範囲の復習で「54÷9」の計算をする場面があったのだが、その生徒はなんと筆算を始めた。僕は目の前の光景をよく理解できず、取り敢えず何も言わずに解かせてみたが、数分後に分からないと声がかかった。
などなど枚挙に暇がない。全部挙げるとキリがないので、今後の記事で少しづつ紹介したいと思う。
(3)野球関連のお話
上記のような生活を送ると、必然的にプライベートの時間は削られる。特に犠牲となったのは、野球観戦の時間だった。バイトを終わる頃に、試合が終わるのだから仕方がない。Twitterを徘徊する時間も減ったし、ツイート数も激減した。
〈参考〉
2012年3月~2017年10月=20万ツイート(Ave.≒100tweet/日)
2017年11月~2020年6月=2万ツイート (Ave.≒20tweet/日)
しかし、ハマスタに足を運ぶ機会だけは何とか作った。ファンの鑑だね(ニッコリ
毎年恒例となったハマスタ開成会は6人が集まり、シーソーゲームの末に筒香のサヨナラ2ランHRと劇的な幕切れで勝利した。なんだかんだ10試合位は見に行くことができたように思う。(日本シリーズの話はまたいずれ)
今年の開催は厳しそうだが、来年以降も続けていきたいので、社会人に人も院生の人も、是非是非よろしくお願いします。
加えて、人生初の西武ドーム&QVCマリン*5観戦も達成した。
①何故野田昇吾なのか?(声豚の悲鳴)
前者は当時アイマスコラボが行われており、アイマス沼の友人から声を掛けられる意外なきっかけだった事を覚えている。
始球式には山崎はるか(春日未来役)、長谷川明子(星井美希役)、中村繪里子(天海春香役)が登場。自身がすっかりアイマス沼に引き摺り込まれた今となっては、豪華な3人がオープニングセレモニーを務めた。
明らかに野球観戦をする格好でない、Tシャツ姿と望遠レンズ付きカメラを持った人々による名刺交換が行われていたのは、珍しい光景だった。ちなみに連れはその一味だった。
試合は山川と外崎のHRなどで西武が快勝した。
超余談ではあるが、一部声優ファンを地獄に叩き落した、佳村はるかと野田昇吾の結婚は、この『パ・リーグ6球団×アイドルマスターシリーズ』がキッカケらしい。先見の明を持つADM内野手は、この時ちゃんと美嘉姉のタオルを入手していた。
更に余談を続けると、旦那の野田は今現在二軍暮らしである。何なら二軍でも打たれているらしい。西武のリリーフ層で二軍だと、他球団でも出番はまずないので、頑張ってほしい(小並感)
②井口資仁引退試合―増井のストレートは何故打たれるのか?―
後者のQVCマリンは井口資仁の引退試合の観戦だった。同期の井口ファンに連れられ、遥々幕張へ初上陸を達成。三浦大輔の引退試合は数時間並んでチケットを確保したのに、こっちは公式サイトから簡単に手に入った。何の差なのだろうか……
試合内容は今でも鮮明に思い出すことができる。9回裏に引退する井口が同点HR、11回裏に鈴木大地のサヨナラタイムリーで劇的勝利を収めた。
試合後には幸運にも井口選手とハイタッチが出来たのも思い出深い。
(井口に同点弾を浴びた増井には、この数年後に三代目檻達総帥に就任するその姿を垣間見てしまった。というか引退する選手にアウトローのストレートをバックスクリーンに運ばれるって、どっちが引退するべきなのか……)
(4)次回予告
暇をプロブロガーへの道を歩むべく、2~3日に1話とハイペースで執筆を続ける、ADM内野手に異変が。
「ネタ切れ」
次回、総集編です……。*6
ステータス
名前:ADM内野手
種族:オタク
称号:陰キャ・ぼっち・童貞
バイト戦士
Fラン大学の優等生
評点2.3・GPA4.0
魔法:なし
技能:ユニークスキル『塾講師』
ユニークスキル『社畜』