転生したら周りがスライムだった件

Fラン転生なろう小説です

転生したら周りがスライムだった件 Season2  3話「Google検索」

 

 CV.石田彰「神様は勇気と希望といった人間賛歌が大好きだし、それと同じくらいに馬鹿やら阿呆やら間抜けだって大好きなのさ。でなけりゃぁFランの学生たちが、あんなにも頭が悪いわけがない。だから旦那、きっとこの世界は神様の愛に満ちてるよ」

 

 CV.鶴岡聡「もはや民草に知能はなく、為政もまた学問を捨てたこの時代に……まさかこんなにも新しく瑞々しい信仰が芽吹いていようとは。心服しました、ADM内野手。我がマスターよ」*1

 

 

 

 

1.落単の危機―成績評価変更―

  

 時は7月上旬、とある統計の講義の一幕である。魔法★シラバス勉強法★(Season1 7話参照)を編み出し、授業に出席せずとも単位を取得する術を会得した僕が、わざわざ出席を取らない授業(しかも1限)に出るはずがなく、毎週のように夢の中でチャイムの音を聞いていた。

azukishu.hatenablog.com

 

 「(そろそろ試験範囲確認するか~)」というノリで初出席を果たしたこの日。1枚のパワポのスライドによって地獄の底へと落とされてしまった。

 

 ―成績評価変更―

「1.出席点30% 2.小テスト30% 3.期末課題40%」

 

 シラバスには"定期試験のみで評価を行う"の文字列を頼りに、あてにして時間割に入れたのに、甚だ理不尽である。定期試験に至っては存在が抹消されている規則破りがまかり通っていた。

 全15回の授業の授業のうち、13回目だったと記憶しているが、この時点で出席回数も小テスト受験回数も当然「0」だった為、この時点で落単が確定的な状況に陥ってしまった。

 

 因みに他3つの授業でも出席点が不足している事態を後に知ることになった。

 

 

2.Google検索

 

①中学生の○○離れ

 

 近年各種マスメディアの報道で「若者の○○離れ」という言葉を耳にする機会は多いのではないか。その中でも代表的なものは「若者の車離れ」だろう。

 就職し早くもマイカーライフを満喫している同期もいる一方、2年前に免許を取得した自分はというと、そんな気は持てないでいる。ちなみに現在進行形で完全なるペーパードライバーです。

 

 理由は大したことではない。車に興味があるわけではないし、維持費を考えると簡単には手を出せないという、ごく一般的なものだ

 まあ、最大の理由は(僕の事をご存知の方は一様に首を縦に振ると思われるが)自分は確実に事故を起こす側の人種であるという謎の自信を持っているからだが……

 

 「〇〇離れ」は低賃金と維持費として課せられる重税の所為だ……などという議論をするつもりは毛頭ない。底辺個別指導塾でアルバイトを始めてはや4年。現実のものとして感じていることが1つある。

 

 それは若者の「Google検索離れ」である。

 弊塾では、ごく一部の生徒を除いて、目と鼻の先にある公立中学校の平均点以下の生徒を介護指導するのが仕事である。基本的に奴らには常識が無い。都道府県の名前が言えないのは当たり前、方程式は解けても割合の計算は全くできない、水と氷との間の体積変化を知ってたら天才レベル。

 

 ある日の社会科の授業の事だった。平安時代鎌倉時代の順番すら覚えてこない*2中3の女の子に

 ぼく「もう時代の順番教えるの飽きたから、スマホ出していいから調べてノートに書いといて」

 と指示を出した。ただの職務放棄なのは事実だが、毎度1から10まで人の解説を聞くよりも、多少は自分で手を動かした方が記憶に残る……とか何とか思ったのかもしれない。

 

 僕のような、サボり癖の酷い人間にとってGoogle先生は欠かせない存在だ。たまに授業を起きると、黒板に知らない公式や用語がびっしり並んでいる訳で、多くの場面でお世話になっている。

 というか、Google先生に頼らない人間が日本に居るとしたら、それはデジタルデバイスを持っていない高齢者か、中国共産党のスパイかのどちらかである。

 

 そう思っていたのだ。この時までは。

 

  数分後、生徒の様子がおかしい。ノートに未だ書き込みは無く、ぼけーっとしている。どうしたのかと声をかけてみた。次の一言に耳を疑った。

 

 生徒「どうやって調べればいいんですか?」

 

 ぼく「いや、だからスマホ使って良いって」

 

 生徒「スマホで調べられるんですか?」

 

 ぼく「……???」

 

 フィルタリングや使用時間制限にかかっている、とかその手の話かと思ったが、そんな生易しい事態ではなかった。その生徒は、iphoneを愛用していながら、Safariを使ったことも無ければ、Googleに限らず様々なブラウザの何れも検索の用途に使ったことが無かったのだ。

 

 じゃあその生徒は一体為にスマホを使っているのか?当然気になったので質問してみた。

 

 生徒「インスタ、Twitter、tictokとゲームとか……。あ、先生バンドリやってますよね?」

 

 ちなみに僕はバンドリはやってない。余談だがバンドリは男女問わずに人気らしい。要するに、彼女のとって、スマホとはSNSとゲームをするための機械であり、この世に溢れかえっている情報にアクセスするツールではない*3という事だ。

 

 取り敢えずその日は、その生徒にSafariでネット検索する方法だけ教え、衝撃に包まれたまま授業を終えた。

 

 さて、これはあくまでも極端な例である。流石にスマホの検索機能を使えない人間はごくわずかだろう。しかし肌で感じているのは、何か分からないことに出会った時に、Google検索に頼る中学生は少数派であるという事だ。

webtan.impress.co.jp

 

www.newsweekjapan.jp

 

 ネットサーフィンをすると、このような記事が見つかるが、これも恐らく「ググらない」彼らの目に入ることは無いまま、情報の海を泳ぎ続けるのだろう。HRで遅刻の多さに説教をする教師の声は、遅刻をする生徒には届かない理論とはこのことだ。

 

  そもそもアホは身の周りの出来事に疑問を抱かず、疑問を抱いたとしても解決する道を選ばないだけかもしれない。

 一昔前の辞書離れが、Google離れへと変わっただけなのだろうか?いずれにせよ事態は深刻である。

 

  

 話がこれで終わったら、なんと良かっただろうか……

 

 

②深淵からの招待*4

 

 前章の単位取得が絶望的だと気付いた授業の一幕である。 教授が期末課題の作成方法についてご丁寧に説明をして下さっていた。

 詳しい内容は伏せるが、統計の授業ということで、数十種類の統計データから好きなものを選び、回帰分析を行い、レポートを作成しよとのことである。なにそれちょろい。小学生の夏休みの宿題の方がまだやりがいがありそうなものだ。

 

 中学生時代の環境委員会の決算処理で、Excelに数値を打ち込みながら、SUM関数を使わずに、暗算で合計額を求めて、近くに居たA君にバカにされたあの頃の僕はもういない*5

 転生した今の僕は首席なのである。回帰分析のやり方なんて生まれた時から知っている。

 

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某台予備校某名物講師名言より引用

 

 さて、レポートにはいくつかの条件が課せられた。そのうちの1つが以下の通りである。

 ・用いた変数(用語)についての説明と、選んだ理由を記せ

 

 とのことだ。まあ特に疑問は無い。その後もダラダラと説明は続き、質問コーナーに入った。すると最前列に座っていた1人が手を上げ、何やら質問をしていた。その内容は聞き取れなかったが、それに対する教授の回答はこうだった。

 

 教授「用語の説明のところは、本を使っても、ネットで検索しても、どんな方法でも構いませんよ」

 

 するとまだ質問が続くらしく、壇上を降りた教授と、その生徒との間でマイクを通さない会話が続いていた。そして、教授が壇上に戻り、発した言葉がこれである。

 

 

 「えー、今検索の仕方が分からないという質問が出ました。」

 

 「不公平が出るといけないので皆さんに回答します。」

 

 「ちょっとスクリーン見てくださいね。今皆さんのパソコンにもInternet Explorerってアプリが見えると思います。」

 

 「これをクリックすると……(ry」

 

 

 大学の授業でGoogle検索の方法の解説が始まった。

 

 因みにだが、この授業の担当教員は大学のベストティーチャーに数度選出され、wikipediaにも個人記事が作成されている程度には、名の通った人物である。とんだ人の無駄遣いでである。こんなアホみたいな授業の為に貴重な研究時間を割くことが、果たして世の為人の為なのだろうか(反語)

 

 流石にブログのアクセス数稼ぎの嘘松だと思う方もいるだろうが、残念なことに紛れもない真実である。このブログの内容は、僕の裏垢に残されたツイートを元に記事を作成しているので、当時の魚拓はふんだんに存在する。

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その授業時の僕のツイート。PCを使う授業だった為、当然Twitterをしていた。

 

 ――Fラン大学に転生し2年目の夏。Fランの闇の深さは、まだ留まることを知らなかった。

 時の哲学者は言った。"深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ"、と。

 だがこれは必ずしも真実ではない。何故ならFラン大学は、深淵が深すぎてどれだけのぞこうとも、Fランに染まることは出来ないのだから。

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nlab.itmedia.co.jp

 

 

 

3.天使が堕ちる日*6 

 

 さて、2年夏の成績だが、GPAを3.9台に落としてしまった。2つの授業でS評価を取り損ねたのだ。が、落とした単位は0だった。

 

 早い話が、出席点等々を加味すると試験を受けても物理的に単位が来ない授業でも、単位が来てしまったのだ。ちょっとよく分からない事態が発生していた。

 

 何はともあれ、授業にはちゃんと出席しないと、痛い目に合うことを肌で体感した……。

 

 などと反省する訳が無い。この時に思ったことは

 

 (授業1回も出なくても、全部単位来るなら、後期も行かなくて良くね)

 

 である。こちとらサボり癖の年季が違うのである。果たしてこの調子で後期はどうなってしまうのか、次回以降の活躍に期待して欲しい。

 

 

4.次回予告

 

 夏だ!海だ!!水着回だ!!!

 

 次回、恐怖のゼミ合宿編

 

 

ステータス
 名前:ADM内野手
 種族:オタク
 称号:陰キャ・ぼっち・童貞
    バイト戦士
    Fラン大学の優等生
    評点2.3・GPA4.0

    代講者

    ありふれた大学で学内最強

      開成の底辺・Fランの頂点

    オーバーキル先生
 魔法:『出エジプト』 

    『シラバス勉強法』
 技能:ユニークスキル『塾講師』
    ユニークスキル『社畜

 耐性:ぼっち耐性ex

 

 

 

 

 

*1:Fate/zero 第13話 禁断の狂宴 より改変

*2:この程度なら毎年大勢いる

*3:Twitterでニュースを見るとかそんな意識の高い行動を取るはずもない

*4:PSYCHO-PASS 1期13話サブタイトル より引用

*5:当時はそんな便利な機能があるなんて知らなかった。

*6:神様になった日 第3話サブタイトル より引用